大学や公的研究機関で研究職に就くためには、大学院博士後期課程を修了して博士学位を取得することが必要な場合がほとんどです。大学院博士前期課程とあわせた5年間で、科学的思考力、論理的な表現力、研究計画を考え実験を遂行する力、科学論文をまとめる力など、研究者としての基礎を養い、博士学位という研究を職業とするための”ライセンス”を取得します。
大学や公的研究機関の研究職は、公募や選考採用という形式で募集されます。大学院在学中や後期課程修了後に、指導教員や研究者仲間からの紹介、所属する学会からの情報提供、研究人材求人サイト(JREC-IN)などで研究者を募集している大学・研究機関の情報を入手して応募します。博士後期課程を修了してすぐに希望の大学・研究機関の研究職に就けるケースは多くはありません。その場合は、日本学術振興会の特別研究員制度や、大学・研究機関の研究者が獲得した研究費などで学位取得後研究員(ポストドクター)として、国内外の大学・研究機関で自分の研究能力にさらに磨きをかけて、応募の機会を待ちます。希望の研究職への採用をめざし、楽しみながら研究活動に没頭して業績(研究論文)を増やしましょう。
大学では、研究室に所属する学生とともに先端的な基礎研究ができる楽しさがあります。学生への研究指導を通じた教育・人材育成が、大学がもつ大きな役割です。一方、国(農林水産省などの省庁)や地方自治体の公的研究機関では、研究活動に専念できる環境で、先端的な基礎研究の成果を産業や暮らしの現場に応用(社会実装)する研究を展開しています。どちらも科学技術の発展を支えるやりがいのある仕事です。名古屋大学農学部・大学院生命農学研究科の卒業生が、農学分野を中心に、基礎生物学、医学、環境学など幅広い研究分野の国内外の大学・研究機関で研究者として活躍しています。