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福島 和彦 教授がリグニン学会の2026年度リグニン学会賞を受賞しました

大学院生命農学研究科 森林・環境資源科学専攻 森林化学研究室 福島 和彦 教授が、リグニン学会において2026年度リグニン学会賞を受賞しましたのでお知らせいたします。
受賞対象となった研究のテーマは「リグニンの形成と構造に関わる研究」です。

化学構造上、また組織化学上の観点からみて不均一なリグニンの形成が「どこで、いつ、どのように起こるのか」を、樹木の細胞や組織をできるだけ破壊することなく明らかにしてきたのが、リグニン科学に対する福島氏の大きな功績です。同氏は、放射性同位体や安定同位体で標識したモノリグノール配糖体などのリグニン前駆体を植物生体に投与し、チオアシドリシスなどの各種リグニン分析法に加えて、マイクロオートラジオグラフィーや高解像度の飛行時間型二次イオン質量分析法などのイメージング技術を駆使し、リグニンの生成過程を詳細に解析しました。これらにより、複合細胞間層や二次壁各層など細胞壁内の特定の壁層ごとに、異なる化学構造のリグニンが時間的、空間的に各々特徴的な堆積パターンを示す不均一な形成過程を経て生合成されることを、世界に先駆けて実証しました。
近年はCryo-TOF-SIMS/SEM 法を用いてコニフェリンおよびシリンジンなど可溶性かつ可動性の低分子前駆体の細胞内局在を可視化し、それらの蓄積する時期や部位がリグニンの形成と密接に関係していることを示し、これらが樹木中でリグニンの真の前駆体として働いていることを明らかにしました。また、圧縮あて材を対象に、p-グルコクマリルアルコールを含むモノリグノール配糖体などの分布やリグニンの形成活性、リグニンの化学構造を統合的に解析し、これら前駆体の分布や取り込み様式がリグニン構造の多様性と関連することを示しました。さらに、有機化学と組織化学を融合させた独自の解析方法により、分子生物学や生化学的なアプローチからは明らかにできなかった新しいモノリグノールの生合成経路の存在も明らかにしました。
以上のとおり、福島氏は最新のイメージング技術と化学分析を融合させた独創的なアプローチにより、リグニンの時間的、空間的な不均一形成プロセスを解明してきました。これらの先駆的な研究成果は、リグニン科学を含む植物科学の発展に多大な貢献をしており、同氏の業績は極めて顕著であることから、リグニン学会賞の授与に値するものです。

本賞はリグニン科学とその関連分野に関して独創的で優秀な研究を行った会員に授与されます。

リグニン学会ホームページ(2026年度の受賞者については後日掲載予定)
https://www.lignin-society.jp/ja