名古屋大学・西オーストラリア大学国際連携生命農学専攻

THE UNIV. OF WESTERN AUSTRALIA

University of Western Australia

西オーストラリア大学(UWA)のメインキャンパスは、南半球に位置するオーストラリア連邦、西オーストラリア州パースにあり、地元西オーストラリアを代表する植物相が観察できるキングスパーク、黒鳥が水面に遊ぶスワンリバーに隣接しています。1911年に設立された西オーストラリア州で最も古い大学であり、また“Group of Eight(オーストラリアのトップ8大学)”の中でも先導的役割を担っている公立大学のひとつです。約6000頭の羊を飼育し、自然環境での生育状況を研究する圃場や土壌・水循環・ランドケア・作物・家畜に関する実験的取組みを行っているトレイルで様々な作物や牧草を育てている1600ヘクタールという広大な附属農場(Future Farm)を有しています。UWAでは、農学関連の教育・研究をSchool of Agriculture and Environment(農学・環境学部)、School of Human Sciences(人間科学部)、School of Molecular Sciences(分子科学部)、School of Biological Sciences(生物科学部)、School of Physics, Mathematics and Computing(物理・数理・計算科学部)で主に行っています。これら5学部だけでなく、他の研究分野、そして地域社会とも協力しつつ「Future Farm 2050プロジェクト」を進めています。大学全体で学生は2万5千人を超え、その中に留学生が6千人以上含まれています。

大学の施設としては、
リサーチセンター
http://www.research.uwa.edu.au/list-of-centres#ric
図書館
https://www.uwa.edu.au/library/home
宿舎
https://study.uwa.edu.au/student-life/accommodation/live-on-campus
など、本プログラムの学生が副大学であるUWAに移動後、比較的短時間で現地の研究に溶け込みやすい環境があります。また研究面をみますと、名古屋大学大学院生命農学研究科は基礎研究に力を入れつつ最先端の研究を行っていますが、西オーストラリア大学は基本的な’発見による’研究、そして社会との強い連携を持って行う応用研究でその存在感を示しています。

特徴

各学生が両校の特徴を認識し研究計画をしっかり立てることが実り多い研究生活につながります。そこで入学後半年以内に学生と両大学の指導教員が協力して研究計画を作成、両大学の承認を得るステップがあります(Research Proposal)。また、いずれの大学に滞在中であろうとも、両大学が常に学生の研究進捗を把握している状態になるよう、各学年末には学生に研究進捗報告書の提出を求めています(Annual Progress Report)。遠隔地にいる指導教員とはTV会議システムやE-メールなどを使いコミュニケーションをとります。UWA教員とのコミュニケーションは英語で行い、研究論文や論文審査等も英語を使用することになります。事前に学生・指導教員間のコミュニケーション頻度を大学側に届け出る体制になっており、毎年提出する研究進捗報告書の中でその約束が果たされたかどうか確認します。

履修が必要な科目は博士論文研究と特別講義で、合計24単位です。修了時には両大学が単一学位を授与するプログラムであるため、学生は両大学が合意した博士論文審査ステップと基準をクリアすることが求められます。そのためにも入学後に作成する研究計画では掘り下げた内容を要求しており、それに沿って研究を進める、プロジェクトマネージメント能力をつけるしくみも組み込まれています。また2つの環境での研究生活は、実験・分析等における物理的可能性を広げ、今後の研究生活の支えとなる知己を増やし、文化的な学びの機会を増やすことにもつながるかもしれません。研究活動やそれに纏わる国際的な経験は、卒業生にとって貴重な糧となるでしょう。
2019年度から設置された本専攻(JDP)では、これまでに本学より3名が学位を取得しました。また、現在学生1名が在籍中です。

生命農学研究科とUWAの交流実績

名古屋大学と西オーストラリア大学間での学術交流協定を 2015 年に締結しましたが、生命農学研究科においては過去15年にわたり研究交流を進めており、多数の共同論文発表ならびに共同での研究資金獲得実績があります。
特に、本研究科の中園幹生教授(現 生命農学研究科長)とUWAのTim Colmer教授(現 UWA副総長)は15年以上前から、イネ、トウモロコシなどの作物の耐湿性形質(根の通気組織形成や酸素漏出バリア形成など)に関する共同研究を行っており、これまでに多くの共著論文を発表し、共同での競争的研究資金(Australian Research Council Discovery Projects, UWA Research Collaboration Awards)を獲得しています。

若手教員の派遣・研究交流も行われています。例えば、本研究科の大井崇生助教(現 高知工科大学准教授)は、Australia Awards–Endeavour Fellowships 2018の援助のもとUWAに滞在し、Tim Colmer教授の研究グループとイネ科牧草の耐塩性形質(高塩濃度下の生育特性や塩排出機構など)に関する共同研究を行い、共著論文を発表しました。その他にも複数の教員が現在共同研究を進めています。

また、名古屋大学農学部・生命農学研究科の学生のUWAへの派遣、UWA学生の受け入れも頻繁に行っています。さらに、2022年よりPost-SDGs世界展開力事業において「日豪食料経済安全保障スタディツアー」を岐阜大学とともに立ち上げ、名大生・岐阜大生・UWA生がチームを作って各大学での実地研修を行い、両国における食料生産、環境問題、食料経済安全保障について学んでいます。さらに、2022年に設置された名古屋大学国際本部グローバル・エンゲージメントセンターのもとで、5週間の短期語学研修プログラム(国際理解科目「短期海外研修F (アジア・オセアニア) 西オーストラリア大学」)を実施しています。

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